朝7時、霧の残る釧路駅前。
駅から歩いて数分のところに、「釧路の台所」と呼ばれる和商市場がある。
釧路和商市場に惹かれて——港町の朝に立つ
観光地としての顔もありながら、地元の人々にとっては日常の台所。
氷の上に並ぶ魚、職人の包丁さばき、響く声。
そのすべてが釧路の朝を形づくっている。
旅人が足を踏み入れた瞬間、そこは「見学」ではなく「参加」する市場だと気づく。
理由はひとつ——自分の手で丼をつくることができるから。
釧路勝手丼の楽しみ方|市場で出会う“食べる旅”
和商市場の名物「勝手丼」は、観光客にとっても地元民にとっても特別な体験。
ご飯を売っている店で温かい白飯を受け取り、
市場内を歩きながら好みの刺身を少しずつ選んでいく。
サーモン、ホタテ、カニ、いくら。
氷の上に並ぶ魚たちの輝きは、港町の朝そのもの。
そして、ここでひとつ覚えておきたい旅の豆知識がある。
刺身の値札には、黄色と白の2種類がある。
黄色い値札は北海道産、白い値札は道外産。
つまり、値札の色を見れば、
その魚がどこの海から来たのかがわかるのだ。
地元の恵みを選びたいなら、迷わず黄色を探せばいい。
「これ、昨日の朝に釧路港で揚がったんだよ」
そう教えてくれる店主の笑顔が、旅の味をさらに深くする。
和商市場おすすめ店舗5選|勝手丼を彩る名店たち
1. 佐藤商店|鮮度自慢のサーモンとホタテ
市場の奥でひときわ活気のある鮮魚店。
黄色い値札が多く並び、釧路産サーモンと厚みのあるホタテが人気。
王道の“北海道丼”をつくるなら、まずここから。
住所: 釧路市黒金町13-25 和商市場内
営業時間: 8:00〜17:00
駐車場: 有(地下駐車場2時間無料)
ジャンル: 鮮魚販売・勝手丼ネタ
2. 丸鮮 高田商店|筋子・いくらの宝石箱
いくらと筋子の専門店。
ぷちぷちと弾ける粒の美しさは、まるで宝石。
ここでも値札の黄色が“釧路ブランド”の証になる。
住所: 釧路市黒金町13-25 和商市場内
営業時間: 8:00〜17:00
駐車場: 有
ジャンル: 海産物販売
3. 丸三佐々木商店|カニの存在感で主役を飾る
毛ガニ、タラバ、ズワイ。
釧路産のカニには黄色い札が掲げられており、
その迫力と甘みはまさに海の王様。
住所: 釧路市黒金町13-25 和商市場内
営業時間: 8:00〜17:00
駐車場: 有
ジャンル: 鮮魚・海産加工品
4. いけだ商店|旬を教えてくれる老舗
季節ごとに変わる「今が旬」の魚を案内してくれる。
黄色い値札を見ながら、道内の季節を感じる楽しみもここならでは。
住所: 釧路市黒金町13-25 和商市場内
営業時間: 8:00〜17:00
駐車場: 有
ジャンル: 鮮魚販売
5. おが和|勝手丼の原点をつくった店
勝手丼発祥の老舗。
手際よく酢飯を盛り付ける手元に、釧路の歴史が宿る。
黄色い値札が並ぶネタでつくる“本家の丼”は、旅の記念にふさわしい。
住所: 釧路市黒金町13-25 和商市場内
営業時間: 8:00〜17:00
駐車場: 有
ジャンル: 食堂・勝手丼
勝手丼おすすめ比較表
種類 | 店舗名 | 駅からの所要時間 | 駐車場 | 備考 |
---|---|---|---|---|
鮮魚 | 佐藤商店 | 徒歩3分 | 有 | 北海道産サーモンとホタテ(黄色い値札) |
海産物 | 丸鮮 高田商店 | 徒歩3分 | 有 | いくら・筋子専門店 |
鮮魚 | 丸三佐々木商店 | 徒歩3分 | 有 | カニ類豊富、釧路産多数 |
鮮魚 | いけだ商店 | 徒歩3分 | 有 | 季節の北海道魚を案内 |
食堂 | おが和 | 徒歩3分 | 有 | 勝手丼発祥、釧路産中心 |
釧路和商市場の背景|港町が育てた“市の文化”
戦後の食糧難の中、釧路の人々は「食材を分け合う」ことで暮らしをつないだ。
それが和商市場の原点であり、勝手丼の精神にも息づいている。
色とりどりの値札、氷の光、笑い声。
その一つひとつが、この町の記憶を語っている。
和商市場を支える人々|氷の上で働く手の温度
市場の人たちは、魚を売るだけではない。
「どこで獲れたのか」「どう食べたら一番うまいか」まで教えてくれる。
黄色い値札を指さしながら、
「これは今朝の釧路港だよ」と誇らしげに言う姿に、
この街の海の誇りが見える。
旅人への小さなアドバイス
- 訪問時間: 朝8時〜10時がベスト。
- 駐車場: 地下駐車場2時間無料(市場内スタンプで延長可)。
- アクセス: JR釧路駅から徒歩3分。
- ポイント: 値札の色に注目——黄色が北海道産。
- おすすめルート: 勝手丼の後は釧路フィッシャーマンズワーフMOOで港風景を。
釧路和商市場の真実|旅人が感じた“分け合う食卓”
丼の上で輝く刺身のひと切れひと切れに、
人の手と海の記憶が重なる。
黄色い値札の一枚は、
北海道の海の息吹そのもの。
旅人はその色を頼りに、
海と人を味わっていく。
なりさん川柳

黄色札
海の息づく 朝の市









