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旧日高三石駅で出会った、高校生の記録|北海道

路線図の描かれた2022年のカレンダーに手を添えて見上げるなりさん。懐かしむような表情を浮かべている。
目次

ふれあいサテライトみついしで出会った一枚のカレンダー

かつて日高本線が走っていた三石の海沿い。朝の道を走っていると、潮の香りとともに現れるのが、旧・三石駅跡に建つ「ふれあいサテライトみついし」である。

木造の小さな建物は、今も旅人を迎える静かな休憩所になっている。

小さな駅舎に、記憶が息づいていた

入り口には、かつての駅名が残る看板が立っている

扉を開けると、ひっそりとした待合室に丸いベンチがぽつんと置かれていた。

壁には地元の掲示物が並び、時間がゆっくりと流れている。

その壁の一角に、ふと目を引く一枚のカレンダーが貼られていた。

タイトルは「思い出の日高本線(鵡川〜様似間 廃線)」。

よく見ると、制作したのは北海道浦河高校の写真部である。

廃線となった駅舎やホームを一つひとつ巡り、シャッターを切って作り上げた記録だ。

駅名標が並ぶ写真には、列車が通っていた頃の空気が宿っており、高校生たちのまなざしがまっすぐに伝わってくる。

線路はなくても、記憶は残る

誰もいない待合室で出会った、高校生たちの「記憶の地図」。

旅人として訪れた自分よりもずっと、この場所に寄り添ってきた人たちの手仕事が、そこにあった。

線路は草むらに埋もれ、駅も静かに時を止めている。

しかし、こうして誰かの思いとともに貼られた一枚のカレンダーがある限り、この鉄路の記憶は、きっと消えないのだろう。

あの日、このカレンダーに出会えたことも、自分の旅の記憶のひとつになった。


なりさん

剥がれずに
 時を貼りつく 夏の駅

このときに旅の記録がこちら▼

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基本情報

項目詳細
正式名称ふれあいサテライトみついし
旧駅名日高三石駅(ひだかみついしえき)
所在地北海道日高郡新ひだか町三石旭町26-4
電報略号ヒツ(旧駅時代)
事務管理コード▲132218(旧駅時代)
開業年1933年(昭和8年)静内駅から延伸し終着駅として開業
廃駅年2021年4月1日(日高本線鵡川~様似間廃止)
駅舎改築1993年(平成5年)貨車駅舎から現在の建物に改築
路線日高本線(廃線)
ホーム構造1面1線の棒線駅(廃線時)
かつては相対式ホーム2面2線の交換駅
交換設備廃止1977年頃
施設トイレ、駐車場、休憩スペース
周辺施設セイコーマート(国道反対側)
アクセス国道235号沿い、道南バス「日高三石」停留所徒歩約0分
現在の用途地域住民・観光客向け休憩施設、旅人の休憩所
特徴旧ホーム・線路跡が南側から見える
日高本線の記憶を伝える展示

ふれあいサテライトみついしの写真集がこちら▼

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