2026年2月の帯広。空気が冷たい。
駅前を一時間ほど歩いた。広小路からいなり小路へ。暖簾を探すが、どこも出ていない。膝が少し重い。喉も痛い。それでもビールは飲みたい。ここだけは譲れない。
13時50分、「鴨川」の暖簾が出ていた。創業昭和21年。
硝子越しに、カウンターの灯りが見える。
迷わず入った。
木のカウンターに座り、瓶ビールを頼む。サントリー。山芋のたまり漬け、刺身盛り、芽室ポテトサラダ、ホタテバター焼き。
派手じゃない。でもどれもきちんと美味しい。
昼の光が入口から差し込んでいる。店内は静かで、テレビの音だけが少し遠い。
しばらくして、カウンターの端に置かれたパウチが目に入った。
3000円で、1月15日から3月31日まで、グループ6店舗が1日何店舗でも飲み放題。
頭で計算するより先に、財布が動いていた。
元が取れるかどうか、そんなことは後でいい。
寒さの中を歩いてきた一時間も、喉の痛みも、全部ひっくるめて「3000円、ええやん」になった。
旅先では、だいたいそういう順番で物事が決まる。
チケットをポケットに入れて、もう一口飲んだ。
瓶ビールの泡が、少しだけ喉にしみる。
今夜が、少し楽しみになった。
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